「ねぇ、梓ちゃん……」
なんの話? と口にしようとする仁葉の言葉を遮る梓ちゃん。
「あ、仁葉もクレープ食べ終わった?」
「え、うん」
食べ終わってゴミとなった、クレープを巻いていた紙を梓ちゃんが仁葉の手から抜き取った。
自分で捨てるよ、と言う仁葉にただにっこりと笑う。
そして、そのまま自身のと合わせて……輝くんに押しつける。
「捨ててきて」
梓ちゃん、容赦ない!
「お前なぁ……」
「早くね。
仁葉、輝が捨ててきてくれたら次はカラオケに行きましょう」
満面の笑みを浮かべた梓ちゃんの向こうに、本当にゴミを捨てに行ってくれる輝くんの姿があった。
輝くん、あの……ごめんね。

