「仁葉」
輝くんに名前を呼ばれてなぁに? と顔を上げる。
仁葉の方に伸びてきた長い指が唇の端をなぞる。
そのまま指をぺろりと舐めて……、
「クリーム。ついてた」
そう言って恥ずかしげに顔を背ける。
「あんた、よくも……、」
「え、本当?
輝くん、取ってくれてありがとう!」
にこにこと笑えば、輝くんが重いため息を吐く。
やってられない、と言わんばかりの表情もしている。
これだから仁葉は、ってどういうこと?
「なんでそんな反応してるの?」
「仁葉は気にしないで?
っていうか一生気づかないで?」
「おいこらてめぇ」
「あんたは一生報われない想いを抱えてなさい」
「鬼か」
一体なんの話をしてるの。

