その光を、追いかけて。





「……そうか」



梓ちゃんに抱き締められたままの仁葉の頭をぽふぽふっと軽く撫でる坂元くん。

自分の髪で見えなかった、その時の坂元くんの表情はどんな風だったのかな。






「それでさ、俺の名前。知ってる?」

「さっきから仁葉が呼んでるじゃない」



なに言ってるのよ、と困惑している梓ちゃんの腕の中。

仁葉は首を傾げた。



もしかして……。



「輝、くん?」

「……」

「坂元 輝くんだよね?」

「……うん」

「えっと、輝くん?」

「なに? ……仁葉」



名前を繰り返せば、仁葉の名前も呼ばれて。

なに? と応える彼の表情があまりにも優しい笑顔で。

仁葉はようやくその真意に気づいた。



「輝くん」



きっと、そうでしょう?

名前を呼んでいいよって、遠回しに言ってくれてるんだよね。