「坂元くんは、坂元くんだよ。
仁葉、光ちゃんと比べてなんかないよ」
キリッと真面目な表情。
梓ちゃんに見守られる中、ぎゅうっと心臓が絞られるような緊張に包まれる。
「鈴宮……」
仁葉の気持ち、伝わった？
「なんの話だ、それ」
…………あれ？
え、っと。
うん。どういうこと？
「俺、別にそんな話してなかったんだけど」
「え、え、」
「坂元、仁葉が混乱してるじゃない！
ややこしいこと言ってんじゃないわよ！」
梓ちゃんに抱き締められた。
俺のせいなのか⁈ と言う坂元くんの声は仁葉の頭をすり抜ける。
「仁葉はてっきり、坂元くんと光ちゃんを比べたように感じちゃったのかなって思ってたんだけど……」
はぁ、と気の抜けるような返事。
「俺が前に怒ったから気にしてんのか？」
「うん」
「仕方がないって今は思ってる。
光さんのこと、……鈴宮は好きなんだもんな」
「……うん。好き」
ずっとずっと変わらない。
誰よりも大切な人なの。
