「坂元くんはどこに行きたい?」
「……」
「仁葉はね、坂元くんとカラオケに行ってみたいな。
そんなに素敵な声なんだし、絶対に歌声も素敵だよね」
「……」
久しぶりのだんまりに、仁葉は首を傾げる。
うーん、なんでだろう。
「鈴宮、さ……俺の名前、知ってる?」
ぱちぱち。
まばたきを繰り返して、はっと思い出す。
出会ってすぐの頃のこと。
『俺は、光って男じゃない』
光ちゃんに似ている声、と言った時にそう言って怒った坂元くんのこと。
今回も、もしかしてそういうこと?
歌声の話をしていたから、坂元くんが坂元くんだってわかってるか、確認したの?
前と違ってすぐに怒らないのは、坂元くんがずっと優しさを出すようになったから。
きっとこらえてくれてるんだよね。
なら、これって挽回のチャンスなんじゃない……?

