「梓ちゃん、なんか美味しそうなもの持ってるね」
顔を上げてみると、クラスの女の子たち。
ひらりと手を振りながらも視線はカップケーキに釘づけ。
「あ、は、はい。
仁葉が喜ぶかなって焼いてきたの」
いつもより上品な笑顔。
梓ちゃんは緊張してるみたい。
どうしてもまだ、クラスの子に対しては他人行儀になっちゃうみたい。
素でおしゃべりできるのは仁葉と坂元くんにだけなんだよね。
「……きもい」
坂元くんのぼそりとした呟きに空気が凍る。
やっぱりこの人怖い! とみんなが思っているのが伝わってきた。
「河内、無理してる感すげぇ。
俺に対して喋るみたいにすれはいいじゃん」
「あ、あのね……」
「いつもの方がまだまし」
坂元くんの発言に梓ちゃんが怒りをまとう。
あわわ、これはやばい。

