「あ、ねぇ。
坂元くんがそんなにツンケンしてるのって転校生だから? 緊張してるの?」

「は?」

「ならね、大丈夫だよー。
仁葉も転校経験者なのです!」



腰に手を当てて、えへん! と控えめな胸を張る。



「学年の入れ替わりの時期だしすぐに慣れるよ」

「鈴宮って、転校生だったんだ」



おお! 初めて仁葉の名前呼んでくれた!

でもきっとここで喜んだらもう2度と呼んでくれないよね。

えへへ、黙っとこーっと。



「うん! って言っても中学1年生の話だから随分前だけどね」



でもあの日は仁葉の第2の人生の始まりの日だったんだ。

緊張したよねー、それもすごく。



「お仲間だから、仲よくしてねー!」

「ないわ」



あらら、ふられちゃった。



手を振っても、顔を背けられて終わり。