「どういう、ことですか?」
「おれの走りが好きだなんて言っても、おれを選ぶことはないだろっつってんの」
その言葉を呑みこもうとするも、理解できない。
したくない。
は……? と声が漏れた。
「陽介さん、それじゃなんか、こ、告白……みたい……」
「っはは、本当に気づいてなかったんだ?
おれがユズを好きだったことも。
あいつの才能を疎ましく思っていたことも」
……俺の才能って、なんだよ。
才能とか、そんなのない。
むしろ持っているのは陽介さんの方なのに。
圧倒的なセンス。
長い手足にバランスよく筋肉のついた身体。
なのに、俺のどこを……疎ましく思うって言うんだ。
「ねぇ、ユズ。好きだよ。
君が手に入るなら、おれはまだ頑張れる気がする」
ガタン、と中から大きな音がした。
「陽介、さ、」
不自然にこもった声に、慌てて扉を開ける。
そこには、柚季の唇を自身のそれで塞いでいる陽介さんの姿があった。

