柚季とは中学3年生の時。
暑くて、暑くてたまらなかった夏休みのとある日に出会った。
受験生になったにもかかわらず、勉強をちっともせずに走ってばかりいた俺。
ある日、母さんに無理やり塾に通わされることになった。
面倒だ、やってられない、それより俺を走らせろ。
そう思いながら足を運んだそこに、……柚季がいたんだ。
実は隣の中学だったことが判明し、志望校も同じだなんだと親しくなっていって。
夏休みが終わってからも通い続けることになった俺は、部活と同じくらい、毎週木曜日に会えることを楽しみにしていた。
明るい。
優しい。
笑顔が眩しい。
誰よりも可愛い。
口になんてしなかったけど、彼女のことをそう思っていた。
いつからかなんて覚えていない。
詳しい瞬間なんてわからない。
ずっとそうだったんじゃないかって、そう思うくらい。
俺にとって、陸上が大切なことと同じくらい当然のごとく。
────柚季のことが好きになっていた。

