「いつも悪いな」
「輝の朝練代わりだから、いいよー。
あたしは自転車で楽だから大丈夫だし」
「……ありがとう」
恥ずかしさを隠すようにうつむきながら、そう呟く。
いつも騒がしくて、やかましい。
そんな柚季だけど、いつだって俺の応援をしてくれる。
そのことに、本当は感謝してるんだ。
嬉しそうな「どういたしまして!」という返事を聞いて、俺はゆっくりと足を動かし始めた。
俺は、陸上部に入っている。
残念ながら部員は30人もいない弱小だけどな。
俺たちの学校は野球部とサッカー部が強いところ。
数年前から陸上部の朝練のスペースは侵食されて……。
俺たちが今年、入部した時には朝練なんて制度はないものとされていたんだ。
でも、朝練をしないなんてありえないと考えた結果が、柚季は自転車で俺が走るという登校。
これならグラウンドが使えなくても問題ないから、なかなかいい考えだと思っている。

