「親指姫みたいに、キショイ蛙に誘拐されたのかと思ったぁあ…!」

え、また背が小さいネタ?

「バラがある屋敷に野獣に連れ去られたのかと…」

美女と野獣?まさかの。

「お兄ちゃんから離れないでよぉぉっ」

…女々しいな、お兄ちゃん。


それくらい愛されてるんだ、ってわかるけど。

さすがにそのシスコンはそろそろ卒業しようよ。


「……大丈夫?」


うぅ、と硝子みたいな瞳が私を見つめる。

泣きすぎだ、いい加減。


手で涙を拭ってペロリと舐めれば、塩辛い味が口内を満たす。


罪悪感に、また染みる。

「る、り」

「…泣かない。あとごめんなさい」

コミュ障丸出しの発言に、なぜか強く抱き締められる。

「うぉおおっ!やっぱり帰ってきなさいっ!お兄ちゃん心配だ!こんな愛らしい妹持っちゃって……よし、今日の夜蛙の格好して瑠璃を拐いにいくから待っててね!」

…やめなさい、マジで。