「…田中さ、」
「美乃おはよー!」
突然そんな元気な声が聞こえてきたかと思ったら、友也がパタパタと私の席に駆け寄って来た。
…あまりにも通常運転だ。
友也に気まずさなんて感じないのかもしれない。
…まあ、だからこそ私も普通に出来るんだけど。
「友也おはよ…」
「澤村さんも三鷹もおはよーっ」
ニコニコと笑顔で皆に挨拶し回る友也は眩しい。
ふと、そんな友也とパッチリ目が合う。
「授業寝るなよ美乃ーっ」
「うわわっ」
そんなことを言いながらうりうりと友也は私の頭を撫でてきた。
きょ、距離感!
告白したんだよね友也!?
と疑ってしまうくらいいつも通りだ。
て、照れる…。
「じゃっ」
そして友也は爽やかにこの場から去って行った。
いや「じゃっ」って…。
取り残された私すごく気まずいというか恥ずかしいんですけど。
「……」
…ああ隣からの視線が痛い。
なんだこいつって目で見られてそうで怖い。
チラッと三鷹くんを見ると、案の定目が合う。
「…授業始まるよ澤村氏」
しかし三鷹くんはすぐに私から目を逸らし、笑顔で菜々に声をかけた。
…なんとなく逸らされたことに落ち込むなぁ。
「あれっ、三鷹くんがノッてくれた」
「うん。だから早く自分の席に帰れよ澤村さん」
「はいはーい」
…菜々と三鷹くんのやり取りはつくづくアホらしい気がする。