(知らなかった……。告白を断るのって、結構辛いんだね)

 春花は何かを言おうとしていた口を閉じ、無意識のうちに視線を足元に向ける。


「……」
「……」

 里桜も黙り込んでしまい、辺りにはただ花弁を散らす風の音がささやかに聞こえるのみだった。


(……ヤバイ、どうしようこの沈黙)

 里桜とはあまり話したことも無いし、などと簡単に理由をつけてサッサと戻るつもりだったのだが……。


 顔を下に向け沈黙してしまったため、そこから先に続けられない。

 かと言ってこんなに間があいてしまったのに何も言わずこの場を離れる事も出来なかった。

(なんであたし黙っちゃったのよー!)

 自分を責めるが後の祭りだ。


 里桜の方から何か言ってくれないかと、少し視線を上げる。

 だが彼も顔を下に向けていて期待は出来そうにない。


 ――と思ったのだが。


「……一つ、聞いていいかな?」

「え!? あ、うん」


 予想外に里桜は話しかけてきた。

 その事に少し安堵(あんど)する春花だが、彼の言う聞きたいことが答えづらいものだったらどうしようかと不安でもある。


 そして案の定。


「俺じゃダメなのって、地味だから?」

(うっ!)

 痛い所を突かれた感じだ。