それなのに、自分は性懲(しょうこ)りもなく恋をした。

 はじめは顔が好みだっただけ。

 なのに、『俺様な人が好き』というその言葉で引き寄せられてしまった。


 どうせ同じ結果になる。

 そんなのは分かり切っていたはずなのに、春花なら自分を好きなままでいてくれるかもしれない、そう思った。

 思ってしまった。


 そうして告白をして、断られた理由は地味男だから。

 そんな理由で納得なんか出来るわけがない。


 だから春花が好きだと言った俺様な男だと暴露して、ちゃんと自分を見るように引き付けた。


 昼休みを一緒に過ごすだけ。

 それでも春花は自分を気にし始めてくれた。


(そしたら、怖くなったんだ……)


 春花が自分を気にしてくれる度、積み重なるように里桜も彼女のことを好きになった。

 重なれば重なるほど、嫌いだと言われるかもしれないことが怖くなる。

 だから少し自分本位なところを押さえたりもしていた。


 そうして、昼休みの時間がかけがえのないものになってきたころだったのに……。


(俺が、壊したんだよな……)

 だが、どうしようもなかった。