「で? 付き合ってんの?」

 重ねて聞いて来る幸春にうんざりしながら、「付き合ってはないけど……」と答える。

 すると何故か喜色満面の笑顔でさらに近付いてきた。


「へー。んじゃさ、俺とまた付き合ってみねぇ?」
「は?」

 今の今まで関わりのない状態だったというのに、どうしてそんなことになるのか。

「冗談言ってないでさっさとお昼食べなよ。あたしも行かなきゃないし」

 きっと、里桜が不機嫌な顔をして待っている。
 自分にだけ見せる、俺様なときの表情で「遅ぇよ」と文句を言うのだ。

 それに対して春花はムッとするものの、食後のキスが甘く優しいから多分許してしまう。

 そんな二人だけの中庭に早く行きたかった。


 なのに、幸春は春花の腕を掴んで引き留める。

「待てよ。あの地味男とは付き合ってねぇんだろ? じゃあ良いじゃねぇか。俺も最近別れたばっかだし、慰めると思ってさぁ」

「はぁ?」

 強引に引き留められた上に自分本位なことばかり。

 流石に春花も本気で苛立ってきた。


 こういうのも俺様というんだろうか?

 そう考えたけれどすぐに否定した。