その日から、お昼は里桜に誘われて中庭で食べるようになった。

 由美と恵美は、はじめこそ「断れなかったの?」と心配していたが、日を追うごとに心配の眼差しは呆れたものへと変わって行く。

「はいはい行ってらっしゃい」
「ってか告白断ったって嘘でしょ。実は付き合ってるんじゃないの?」

 と、逆に詮索(せんさく)してくるくらいだ。


 ……付き合っては、いない。

 それは確実だ。

 だが、春花は自分の気持ちが急激に変化している事には気付いていた。


 特に何かを話すわけでもなく、黙々とお弁当を食べる。

 その後は膝を貸してあげて、触れるだけのキスをする。

 それが毎日している事。


 思えば……いや、わざわざ思い返さなくても、この状況はむしろ恋人同士の関係に近いのではないだろうか。

 近いどころかそのものだという突っ込みは誰にも見られていないので言う者はいない。



 里桜もはじめこそ怖かったが、お昼の時間を過ごしているうちに丸くなってきている気がした。

 付き合ってはいないが、そうなっても良いかもしれないと思い始めている。


 里桜がまた「俺に惚れた?」と聞いてきたら、「うん」と答えてしまおうと思い始めていた。


 そんな関係が二週間になろうかと言うとき、変化が起こる。