全部食べ終わり、お弁当を片付ける。

 そして教室へ戻るために立ち上がろうとした時だった。


 フッと目の前に何かが落ちてきて膝の上に乗っかる。

 突然のことに悲鳴を上げそうになったが、すぐにそれが里桜の頭だと気付き喉の奥で押し留めた。


 自分の膝枕で仰向けに寝転がった里桜。

 それを春花はまん丸にした目で見下ろしていた。

「……えっと、相良くん……?」

 何をしているんだ。

 言わずとも込められた意味には気付いたのだろう。

 里桜はまん丸お目目を見返して言った。


「膝貸せよ。昼休み終わるまでこうしとけ」

 頼むわけではなく命令口調。
 そのことに春花は苛立ちを覚えたが、太ももの上に感じる重さにそれどころではなかった。


 ズシリと来る重さは明らかに人の頭の重さ。

 重さと共に感じる熱は確かに里桜のもの。

 そして膝の方に彼の長めの髪が少し流れて行ってくすぐったい。


 全てが恥ずかしくて、顔に熱が集まる。

 見開いた目が、潤んできた。


 どうにかしたいのにどうにもできない状況。

 言葉も出せず、動くことも出来ない。

 少しパニックになっていたのかもしれない。


 そんな春花の頭を里桜は掴んだ。