吹雪の様に舞い落ちる桜の花びら。

 薄紅色の絨毯が出来る4月の事。


 学校の敷地内にある大きな桜の木の下に呼び出された金澤(かなざわ) 春花(はるか)は、先にその場にいた男子生徒に見覚えがあった。


 相良(さがら) 里桜(りおう)
 同じクラスの男子だ。


 眼鏡を掛けていて、長めの髪は特にセットしているわけでもないストレート。

 彼と良く一緒にいる人たちもパッとしなくて、クラスの中でも地味な部類に入るグループの一人だ。


 彼とは去年も同じクラスだったため、そこそこ知っていた。

 ――あまり話した事は無いが。


(ていうか、この状態って告白パターンよね? 相良くんがあたしに告白? マジで?)

 春花は美少女という訳では無いが、普通に可愛いと言う程度の容姿はしていた。


 中学の頃に付き合っていた人もいたが、特に告白をされたわけでもしたわけでもなく、周りの雰囲気や嫌いじゃないし仲が良いからという理由だけで付き合い始めた。

 そのため別れるときもなんとなく、という感じだったが。


(初めての告白が相良くんかぁ……)

 彼には悪いが、初めての告白に多少夢を見ていた乙女としては少々ガッカリしたと言わざるを得ない。