入ってきた男達が見たのは、薄暗い部屋だった。
やけに広い、さすがスウィートルームというべきか。
奥の寝台に盛り上がりが見えた。
あれがターゲットの女の子か。
彼らはコツコツと安全靴を響かせて、寝台に歩み寄る。
と。
がっ、と、一人の男に衝撃が当たった。
「うがっ……」
「…おいっ!」
頭に鈍器のようなものが当たったらしい。
ふらりと倒れ、一気に三人の空気が警戒に変わる。
どこから鈍器は飛んできた?
薄暗くてうまく見えない。
必死に目を凝らすと、また1人が悲鳴を上げて倒れた。
「いっ……なに…あ、アキレスだ!アキレスを切られたっ」
「アキレス……」
足元の要を狙って切ったのか。
いつ切られた?いや、いつ間合いに入った?
足を狙うということは、一度こちらの間合いに入ってしゃがんで切らねばならない。
それには最低でも四、五秒はかかる。
「……どこだ?どこにいる?」
目を凝らして、気配を探す。
「んん……」
女の子の声。
起きたのか、と思ってつい意識がそちらに行く。
そのとき、首元になにかが勢いよく張り付いて、押し倒された。
「うわあ……!?」
驚いていると、それは彼を抱き起こしてひやりとしたものを首に押し付ける。
つ、となんの迷いや抵抗もなく2ミリほど切った。
鈍い痛みに顔をしかめる。
こいつは間違いなく殺す気だ。