「……痛みを我慢できなくなっては遅いんだ。

医者の見立てが……もし、」



「もし……!?」



「いや……その時は、その時に考えればいい」



「でも……」



「らしくないな、ビビってるのか!?」



「いえ……」



平然と答えたつもりだったが、詩月の声はうわずっていた。



「診察結果を必ず報せに来い、いいな」




 病院の待ち時間が長いのも、診察が堅苦しいのも事務的なのも、慣れている……筈だったが、詩月は不安に押し潰されそうだった。



演奏家を諦め、ヴァイオリンを教えている母親の姿が浮かび、震えが止まらなくなる。



練習や演奏後に感じる指の強張りは、時に関節に熱を持つほどになっている。