抱き締められたりキスしたり触られたりすれば、もちろんドキドキする。
けど、それ以上に安心するし……切ないだとかその辺の感情がよく分からない。

好きすぎて苦しいとか、切ないだとか。どういう感情の事をいうんだろうってずっと疑問だったし、漫画とかドラマにそういうシーンが出てきても共感できなかった。
いつかそれを由宇に言ったら、おまえの想像力が乏しいせいだって言われたけれど。

本当にそれだけが原因なんだろうか。

「私、呑気すぎる?」

急に漠然とした不安を感じて思わず聞いたけれど。
こんな風に聞いたら、頷いた上に憎まれ口並べられるに決まってると思って後から後悔した。

けれど。由宇は、そうはしなくて。

「いや、多分俺のせいもある」と少し考えた後、独り言のように呟いた。

由宇が自分で自分の責任を自白するなんて事はまずないから、どうしたのかと驚いて顔をしかめてしまう。
私が嫌だって言ってるのに襲い掛かってきて、事が済んだ後でさえ、おまえも最終的には感じてたしいいだろみたいな事平気で言うくせに、こんなあっさり認めるなんて……。

どこか調子でも悪いとか?と逆に心配になってきてしまう。

「……なんで由宇のせいなの?」
「要はおまえが妬く必要ないように俺が……」

そこまで答えた由宇が私の方を見る。
そしてしばらくそうした後、やっぱやめたと発言を取り消した。