「別に苦手じゃないし。ただ、得意じゃないだけで」
「へー」
「大体、由宇が社内で普通に話しかけてきたりしたから、どういう関係なの?って話になっちゃったんだからね。
由宇のせいなんだから」
「ああ、まぁそうなるだろうとは思ってたけど、本当に聞かれたのか。
なんて答えたんだよ」
「誰にも言わないって言うから、そのまま答えたけど……そしたらちょっと変だって言われた」
見上げながら言うと、由宇は私をじっと見つめた後、「そうだろうな」と答える。
「俺たちの関係っていうより、おまえがおかしいんだろうけど。鈍いしトロいし、恋愛方面は特に鈍感に磨きがかかってるし」
「あと、やきもち焼いた事ないって言ったらそれもレアケースだって言われた」
鈍いだとかトロいだとか鈍感に磨きがかかってるだとか。その辺の悪口に少しムっとなりながらもスルーする。
それよりもやきもちの件の方が気になっていたから。
「やきもち焼かないのっておかしいのかな……。やっぱり私、恋愛感情が欠如してるのかな」
それは、なんとなく、学生の頃からずっとぼんやりと持っていた疑問というか不安。
由宇にドキドキしたりする事はもちろんあるけれど、他の子がしているような恋とは少し違う気がずっとしていた。



