「横田さんは確かに完全にケンカ売りにきてたけど、姫川があまりにクールに返すから逆に頭にきたんでしょ。
あんな風に返したら、仕事なのにやきもち焼いてるんじゃないかなんて発想に至って、しかも口にまで出しちゃった横田さんの方が、仕事に恋愛感情持ち込んでるみたいに言ってるようなもんじゃない。
しかも、深読みすると、横田さんと星崎さんはただの職場繋がりでしかないとでも言ってるようにも感じられるしね」
「あ、でも、なんでやきもちなんて持ち出すんだろうとは思ってました」

そう答えると、広兼さんはわずかに顔をしかめたまま固まってしまって。
それから、「まぁ、隣のファミレスで全部聞き出すからいいわ」と笑った。

そして、お店に入って注文を済ませたところで早速始まった、広兼さんの事情聴取。
聞かれたのは、もちろん由宇との関係なのだけど……。

絶対に誰にも言わないでくださいって約束をしてから、事実をそのまま話す事にした。
随分前から一緒の家に住んでるから、馴れ馴れしかったんだって。

広兼さんは、まず私のお父さんが次期社長候補だって事に驚いた後、由宇との関係にも驚いて。
でもまぁそういう事もあるのかと納得してくれたのだけど。

次期社長候補発言や、由宇と一緒に住んでいる事以上に驚いたのは、私と由宇のしている事にだった。