「おまえがうまく飼いならせば、そういう命令も聞くようになるかもな」
「……こんな大きな犬、飼いならせるわけないでしょ。手におえない」

呆れて言うと、由宇は満足そうに笑みを浮かべて行為を続ける。

痴漢騒動で疲れた身体には由宇が与える快感が強すぎて、途中何度か待ってって言ったけれど、いつものごとく聞き入れてもらえなかった。
今日何度目かの大きな波が頭まで駆け上がって抜けていく。

「……ふ、ぁ……っ」

余韻で震える身体をきつく抱き締める由宇の背中になんとか手を回して、ふたりで肩で息をして呼吸を整える。

「梓織……なに泣いてんだよ」

まだ熱い呼吸を繰り返しながら聞く由宇が、私の目尻から落ちる涙を指ですくう。

「待ってって言ってるのに由宇がやめてくれないから、涙腺がおかしくなったの」
「涙腺がおかしくなるほどよかったって事か」
「私の話聞いてた? 都合よく解釈するのやめ……っ、ちょっと、も、やだ……んっ……っ。
由、宇……っ、待って……!」

躾けてみようと待てをしてみたけれど、由宇は楽しそうに笑みを浮かべているだけで、従おうとはしなかった。
暴犬だ。