由宇がうちに住み始めたのは、中学二年の夏休みだった。

お父さんが海外に少し長い出張に行かないとってなった時に、家に私がひとりだと心配だからと、お父さんがお手伝いさんの星崎さんにその間住み込みで頼めないかとお願いしたのがきっかけだ。
星崎さんが泊まってくれるならもちろん、星崎さんの子供である由宇もって話になって。

星崎さんはホームヘルパーの小さな会社をしているから、家は事務所兼って感じだけど、数人のヘルパーはそれぞれの仕事先に出払っている事が多いらしい。
由宇のところはうちとは逆で母子家庭だし、そんな中母親である自分が仕事で出てしまうと家には由宇ひとりでそれがずっと心配ではあったから、と住み込みの期間の間に星崎さんがぽろりと言った事があって。

それを聞いたお父さんは、だったら夏休みの間だけじゃなくうちに住んで住み込みで働けばいいんじゃないかと提案した。

うちは星崎さんにやめてもらう予定もないし、万が一うちにくるのが嫌になったら出て行ってくれればいいんだからって。
その間星崎さんの家はどうするんだって話にもなるだろうけど、幸い、事務所として使っているからそのままでいいし、うちを出る事になったら戻ればいい話。
そして、うちには余ってる部屋がいくつかあるんだし丁度いいだろ、と。

お父さんの言い分はこうだった。