由宇がやましい気持ちがあってそうしたわけじゃない事くらい分かってる。
横田さんと食事するくらい、私が何とも思わないって事を、由宇だって分かってる。

その上で、由宇が私に、自分が望んで一緒にいるわけじゃないって伝えたかったのはきっと、最近由宇がおかしいのと関係がある。
直感でそう思った。

「由宇……最近、おかしいよ。
なんで、そこまでして私を不安にさせないようにするの？」

ずっと思ってた。
由宇が私に対して気を使いすぎるって。

過保護だとかそういう事に対してもそうだけど、女性関係みたいな事には殊更気を使ってる。
私がやきもちを焼いた事がないのだって、きっとそれが理由だ。

私が妬かないようにって、由宇が事前に手を打ってるから。
私の目に入らないように、耳に届かないように。

今日の横田さんとの事だって、私が誤解しないようにって先輩の横田さんよりも私を優先するって態度を見せる事で、私が不安を感じないようにしたんだ。

きっと、あの時、メールで頼まれた通り由宇に電話をしていたら。
ううん。電話しなかったとしても……少しでも私が不安な顔をしたらきっと退席した。

注文も済ませてない状態で途中退席するなんて、横田さんにかなり失礼になるって分かりながらも……その上できっと。