「別に。面倒だし梓織いたし丁度いいと思ったから」
「由宇は、面倒だったら最初から一緒に行ったりしないじゃない。
うまく断るでしょ」
「何度も誘われて断ってたし、一度くらい行っとかないと職場の先輩だしまずいと思ったんだよ。だから」
「だったら、そのまま一緒に食べればよかったでしょ。
なのになんで私にメールしたの?」
黙った由宇を見つめたまま続けた。
「私に見られてマズイと思って……それで、帰ろうと思ったんでしょ? メール送ったのだって、返事はどっちでもよかったんでしょ?
由宇は、自分が望んで横田さんと一緒にいるわけじゃないって、私に伝わればそれで」
由宇の瞳が、驚きからかわずかに揺れて、それからしかめられる。
まさか私がそこまで気づいてるとは思ってなかったみたいだった。
きっと由宇は、横田さんを放って帰ろうとした事事態を私が怒ってると思ってたんだ。
社会人として先輩にそんな態度取るなんてダメだって、そういう意味で怒ってるんだって。
そして、そうだと思った上で、話を合わせてこの話題を終わらせようとしてた。



