「もし、おばさんから電話があったらすぐ言え」
「え……ああ、お見合いの事で?」
「そう。電話があって何か言われて断れなくても、返事は保留にしろ。即答はすんな」

こんな事を真面目な顔で言うって事は、由宇も私がここぞって時に決断ができないって思っているって事で。
そんな風に思われている事が悲しいだとか腹立たしいだとかいう感情はなかったけれど、なんだか引っかかってしまう。

だって、そういう優柔不断な部分を、由宇は嫌いそうだから。
それなのになんで今まで指摘もしないできたのかが不思議だった。

「由宇も、私の事色々決められないヤツだって思ってるんだよね?」
「別に……そんな風に思った事ねーけど」
「嘘。志望校だって進路を決める時だって、私が希望を一つもだせなかったの、由宇も知ってたじゃない。
それ見て、こいつ自分の進路も決められねーのかって思ってたに決まってる。
由宇、そういうヤツだし」
「なんだ、それ。俺への文句?」

はぐらかすように笑う由宇に、口を尖らせる。

「違うよ。そうじゃなくて、由宇、優柔不断なのとか嫌いでしょ。
今日会社帰りに寄ったコンビニでデザート何にするかちょっと迷ってただけで、とろいって文句言って勝手に決めたし。
ちょっと待ってって言う私の話なんて聞かないで勝手にレジ済ませちゃったし」
「でもうまかったろ。俺が選んだやつ」
「おいしかったけど、そこじゃなくて!」

わざとなのか会話を進めようとしない由宇にため息をついてから、話題を元に戻す。