「俺がいるのにおまえに近づくヤツがでてきたり、おまえがいるのに俺に近寄ってくるヤツがでてきたりするかもしれないだろ。
そーいうのが面倒だって言ってんだよ」
「……つまり、女避けに私の存在を使いたいって事ね。まぁ、由宇はモテるから気持ちも分からなくはないけど。
でも、中学の時も高校の時も、結局私がいたところで由宇は色んな子に言い寄られてたじゃない。
ものすごく冷たくあしらってたけど」

由宇は私に対しても大概失礼だし口も悪いけど、他の子相手になるとそこに冷酷さがプラスされる。
すごくモテるから女の子が鬱陶しかったりしてくるのは分からなくもないけど、それにしたってもっとソフトに対応してあげればいいのにっていつも見る度に思ってた。

「誰のためだと思ってんだよ」

ため息をつきながらそう漏らした由宇に、「私のためなの?」と聞き返す。
そんな言い方するって事はそうとしか考えられなかったから。

「なんで……私のためなの?」

だけど、女の子に冷たく接するのがなんで私のためなのかが分からなくて聞くと、由宇は「さぁ」と答えをはぐらかす。
納得できなくて由宇の顔を覗き込んだのと同時くらいに、由宇も私の方を向いた。

そして、タオルを頭に乗っけたままの由宇が真面目な顔で言う。