桜はまだ咲かないけど、もう随分陽気な天気が続いている。
柔らかに吹く、ほんの少し温い風。
青よりは水色の空。
ざわめく木々の葉も、新しくなったものばかり。
一つ学年が変わる頃――卒業式の、季節だ。
卒業式も終業式も終わり、待ち合わせ。
今日はご飯を食べに行く予定。
道を歩けば、どこもかしこも、寂しげに見える。
この付近は学校が多いから、生徒が同じ時間帯にたくさん歩いている。
この雰囲気は、卒業生と思しき人たちが無意識に目に入るからかもしれなかった。
「来年はああなるんだねえ」
感慨にふけるわたしとは対照的に、こんなときでも和泉くんはマイペースに冷静だ。
「その前に受験勉強」
「が、頑張ります」
うん、と柔らかく頷く和泉くん。
和泉くんは計画性があるうえに真面目だから、推薦を狙っているのだと聞いた。
「葵は大学どこ行きたいの」
「とりあえず学部は教育学部希望かなあ」
今のところ、将来の夢は少し曖昧。
小学校の先生になりたいなってぼんやり考えてるくらい。
大学は、楽しそうなところがいいなあ、と思っている。
できれば和泉くんと会いやすい距離のところがいいな。
柔らかに吹く、ほんの少し温い風。
青よりは水色の空。
ざわめく木々の葉も、新しくなったものばかり。
一つ学年が変わる頃――卒業式の、季節だ。
卒業式も終業式も終わり、待ち合わせ。
今日はご飯を食べに行く予定。
道を歩けば、どこもかしこも、寂しげに見える。
この付近は学校が多いから、生徒が同じ時間帯にたくさん歩いている。
この雰囲気は、卒業生と思しき人たちが無意識に目に入るからかもしれなかった。
「来年はああなるんだねえ」
感慨にふけるわたしとは対照的に、こんなときでも和泉くんはマイペースに冷静だ。
「その前に受験勉強」
「が、頑張ります」
うん、と柔らかく頷く和泉くん。
和泉くんは計画性があるうえに真面目だから、推薦を狙っているのだと聞いた。
「葵は大学どこ行きたいの」
「とりあえず学部は教育学部希望かなあ」
今のところ、将来の夢は少し曖昧。
小学校の先生になりたいなってぼんやり考えてるくらい。
大学は、楽しそうなところがいいなあ、と思っている。
できれば和泉くんと会いやすい距離のところがいいな。