ルーズリーフに書きつける手を止めてもらって、じっくり観察。


とりあえず関数になるのは理解した。


「図解するとこうなって、この図はここでぶつかりますよね」

「はい」

「求めるのはこの範囲だから、つまりこの部分の面積を求める訳です」

「なるほど」

「で、この関数はこう直せるから、もう少し簡単になって、」


さらっと流されそうになった説明をストップ。


待って待って、何でそうなるの。


「こ、公式ですか?」


わたしが知らない公式ってつまり、わたしの馬鹿さ加減を露呈してるんじゃないかな。


びくびくしながら頑張って聞いてみる。


心配もなんのその、和泉さんは至って平淡に肯定した。


「少し応用の。文系では教わりませんか?」


こくこく頷く。


「結構使えるので、覚えておいても良いと思います」

「はい」


理系って大変だなー、こんな変な公式覚えてるんだもんね。


戦慄しているわたしに、何事かを思案して、和泉さんは意地悪な顔をした。


「証明しましょうか」

「!?」


証明だって!?


今でさえいっぱいいっぱいなのに、これ以上知識を増やしたら余計に混乱する!


「い、いいえ! 公式として覚えちゃいます!」


残念です、とこぼした和泉さんは、少し、ほんのすこーし、意地悪だ。


「それで、代入して座標出して――」