よーし、次も頑張ろうわたし。


ふんふふーん、足取り軽くトイレから戻って確認すると、案外時間が経っていない。


英気を養おうと上機嫌におやつを取り出したわたしに、「あの」と声がかかった。


意外にも、発声主は戻ってきていた前の人――和泉さん。


「っ、はい」


慌てて返事をして、おやつを鞄に押し戻す。


何だろう。使い心地悪かった?


それともやっぱり、迷惑だったかな。


呼ばれる理由が分からなくて迷走する思考が、多分顔色に出ていたんだろう。


おそらく、不安そうな表情をわたしはした。


だから多分彼は、少し驚いて、少し困惑して、困って次第に俯き、


「あの」


決意したように顔を上げたのだ。


「先程はありがとうございました」

「いえ!」


首を振る。


ぶんぶん勢いよく振ったわたしに、和泉さんは不思議な問いを投げた。


「甘いものはお好きですか」

「はい。……あの?」


訝しんで首を傾げるわたしに、和泉さんは真面目な顔を崩さない。


ひたと見据えて再び質問。