ううう、と不審者のようにうめきつつ、どうにかこうにか名前を告げる。


凍える手で受験票を受け取って、ちゃっちゃと教室に向かった。


いつも近所の塾で模試があると申し込みをしているので、ここまでは慣れたものだ。


席は特に決まっていないことが多い。


窓際にある暖房にしっかり狙いを定めつつ、くるり、周囲を見回すも、まだまだ空席が目立つ。


よっし、と若干早歩き。


黒板と時計が見やすいけど後ろの方で、かつ暑すぎない席を確保。


今回は長机だから、一つ椅子を開けて誰か座るだろう。

荷物はまとめてまとめて、っと。


マークシートだからと持ってきた鉛筆を始めとする筆記用具を並べて、

ホッカイロを取り出してぬくぬくして、

はっ、非常食! とおやつがあるかを確認したところで、カラリ、扉が音を立てた。


低めているけど、男子の話し声が聞こえる。


思わず聞いてしまった内容を推測するに、友達同士で待ち合わせて来たみたい。


仲良いなあ、とか思っていたら、彼らがわたしの前の列を陣取った。