妖精の心を貴方に

教室を出て行く二人を見送り、私は窓の外を見つめた。

「私も行かないとな。美術室……」

正直、この時期の美術室には行きたくなかった。

「行っても、どうせ私の絵は……」

でも、やっぱり絵は描きたい。

小さい頃から絵は描いてきたから、絵を描くことはやめられない。

結局、美術室に行くことにした私は、机にかけてあった鞄を掴んで教室を出た。

二階から一階へと階段を下りて、下駄箱の前を通り過ぎ、職員室のある角を左に曲がって、西棟へと続く階段を三階目指して上っていく。

そして、美術室と書かれた扉の前で足を止める。

「はあ……」

小さく溜め息をつき、扉のドアに手をかけて、ゆっくりと左に引いていく。

「こ、こんにちは」

小さい声で挨拶しながら中へと入る。

しかし、中には誰もいなかった。

「居ないんだ。珍しい……」

先輩たちが居ない事に安堵し、鞄を机に置き、奥の方から描きかけのキャンバスを取りに行こうとした時だった。

「ねぇ、さっき先生から聞いたんだけどさ、次のコンクールに莎々原さんも出展するんだって」

「ええっ!また、あの子が?!」

「あの子が出展したら、私たち賞とれないじゃん!」