「……いやぁ、おまえら面白いなぁって思って」



しばらくしてやっと笑いのおさまったシンヤがぼそっと言う。


するとアスラはふたたびふり返って、据わった目でシンヤを睨みつけた。



――と、次の瞬間。



ドン、と何かに勢いよくぶつかられて、アスラはよろめいた。


すかさずイフリートがアスラを支え、ぶつかってそのまま走り去ろうとした小さな人影をシンヤが追いかけ、捕まえる。



「――放せッ!」



甲高い叫び声の主を、イフリートは呆れ顔で見遣った。


またもやスリに遭ったのか、と思った。



姐さんはつくづくスリの子供に縁がある、と、シンヤも苦笑まじりに笑い飛ばすつもりでいた。