*第二夜 3*


「……くそッ! どこ行ったんだあいつ……」


アスラは舌打ちをしながら、来た道を戻るために踵を返した。


分かれ道で少年を見失って闇雲に走り回っていたのだが、行き止まりになってしまった。

いったん戻ってもう一方の道に行ってみよう。


少年を見失った曲がり角まで戻って、アスラは別の道へ行く。

先ほどから走ったり歩いたりを繰り返していたが、そろそろ体力の限界だった。

もう走る気力はない。


疲労もあらわにとぼとぼと歩きながら、アスラは時折空を見上げた。

カラスとなって少年を追っているはずのイフリートが現れないか、と。


見知らぬ土地に一人、というのは、案外に心細いものらしい。

ずっとイフリートが隣にいたので気がつかなかった。