「長瀬さんには素敵な人達がついてるわ。
だから少しずつ進もうね。

まずは、お父さんとお母さんに協力をあおがないとね。
知っておいてもらわないと、長瀬さんの不安が募るから。

あなたの辛い思いは、皆で分担すればいいのよ。
だから、話してもいいかしら?」


私が小さくうなずくと、野上先生はニッコリ笑った。


「こういうことって、家族に先に告知することもあるんだけど、私は不治の病でない限り、本人に言うことにしているの」


優しそうな先生だけど、言葉には芯がある。
自分の仕事に信念を持っているのだろう。

この先生の言うことなら、信じてもいいかもしれないとさえ感じる。


「自分のことは自分が知らなくちゃ始まらない。
辛いことも、あるけどね」


野上先生は、私の手を強く握った。