私ね、思い出と関連するものってたくさんあると思うんです。

ものとか形のあるもの、匂い、感触などの感覚。本当にたくさん。

そんな中で私がもう1度と願ったのは、味覚でした。



もう1度、食べたいものがあって。

でも、もし同じものを食べたとしても、同じように感じることは出来ません。

その思い出のものを食べたいと願うものだから。



だから、私が欲しいものはもう手に入らない。

でも、もし。もしも、思い出も合わせて食べたいものが食べられたら、と。

そう思ってこの『思い出レストラン』を考えました。



人生は振り返ってばかりはいられません。
でも、立ち止まらないために、前に進むために、時折『思い出』というものは必要です。

消えていく『思い出』を繋ぎとめることはできないけれど、手に入らないはずのものを手にすることが出来たお話をこうして書くことができてよかったです。



今回『ホットミルクの隠し味』を書くにあたり、このシリーズの主人公たちではなく、初代思い出レストランの店主に働いて貰いました。

まさか現役時代を書くことになるとは思っていませんでした。

お疲れ様。ありがとう。





しばらくはファン様限定『君のドロップ』と部誌の原稿をガリガリ書いていきたいと思います。



次回作は格安マンションのお隣さんに胃袋を掴まれた大学生のお話です。

ご飯いっぱい出てきますよ。美味しそうかは知りませんが。





『思い出レストラン』シリーズはもう少しまともに書くつもりをしています。

またその時がきたら、店の扉を開けていただけたら嬉しいです。





それでは、読んで下さった方に溢れるほどの愛を押しつけて。




            2013/09/26