改めて考えてみると、自分はかなり野球に支えられている。


のめり込めることがあるから、毎日が充実したものになっている。


部活に入っていない連中からすれば『たかが部活』だと思うだろう。


でも、その『たかが部活』にすら本気になれない奴らに言われたくない。


本気で頑張れるから楽しいんだ。


本気だから充実できるんだ。


そういうものに出会うことができた。


遥にとって、それが野球だった。


この先もずっと、多分、一生続けていくと思う。


それくらい野球が好きだ、大好きだ。




『なっ、一緒に野球やろうよ』




あの日、あの一言がなかったら、今の自分はいなかっただろう。


バッテリーの相手が別だったら、ここまで信じて投げられただろうか。




『なあ、苗字じゃなくて、名前で呼び合おうぜ。


遥って呼ぶから、遥も駿って呼んでよ、そうしようよ』


『遥、ナイスボール。


ほら見ろよ。あのバッター、余裕カマしていたからすっげえ悔しがってる、ざまあみろだ。


5年生だからってバカにしてくる奴、全員ギャフンと言わせてやるぞ』


『なあなあ、今日で秘密の特訓100回目だぜ。


え?数えてないって……とにかく、今日で100回目なんだよ。


すごくねえか、おれら。こんなに特訓続けられちゃうなんてさ。


これからも頑張って続けていこうぜ』




……ああ、そうだ。



遥は目を閉じる。


野球をするときはいつでも、駿が隣にいてくれた。


マウンドがあって、駿がいて、駿のミットに向かって全力で投げる。


それが遥の野球だった。



帰り道、秋山たちの声が鼓膜の奥で響く。



『まさか、秋山が清水とバッテリー組むのか?』


『清水のキャッチャーは川口しかいねえよ』


『このまま川口が練習に来なかったら、おれがキャッチャーをやる』