とりあえずそのまま歩き、向こう側までたどり着く。

俺の家の近くの大きな駅が見えた。

最寄り駅ではないものの、そう遠くはない。

頭の中で混乱を抱えながらも、なんとか地を踏みしめて歩き出す。

だって俺、あのよくわかんないところにいたんだよな…?

んで、麗奈が刺されて…

死んで…

それから、麗薇が…

「何をしようとしてたんだ?」

そう口に出して、バッと手で抑える。

考えていることを時々口にしてしまうのは昔からの悪い癖だ。

とにかく、家に帰ろうと思った。

いや…違う…

家に帰っても、みんなからシカトされるんだっけ?

なぜか俺、避けられてるんだっけ?

それなら…

麗薇のところに行こうか?

いつものように。

そう、なんだか俺の頭の中だけで起こっていたことみたいだけど、頭の中の麗薇だって、事務所に行けって言ってた。