「いえ、結構です」


今日のテルさんは、黒いシャツをラフに羽織ってノンフレームの眼鏡をかけていた。


こうしてみると、暴走族だなんて誰も信じないような、いいとこのお坊ちゃんみたい。


あたしの目の前にはティーポットが置かれているし、ここだけ切り取ったら、まるで上流階級の食卓。



「気になるんですか…?」


「何が?」


「日本の経済……」


なぜなら新聞のタイトルは"日本経済新聞"


「気にしたらいけないか?」


「いやっ、そういうわけではないですけど……」