こんなマネをされたのは初めて。


だけど、今日は奈央の差し金じゃなさそう。


「なぁお前、金持ってねえ?」


肩から掛けたスクール鞄をひったくるように奪われる。


そして祐介は、中を漁り始めた。


「お金なんて持ってるわけないじゃん!」


だけどその手には財布がしっかり握られていて、なけなしの2千円を抜き取った。


「金持ってかねえと、先輩にやられちまうんだよ」


シケてんなぁ…ニヤリと笑う口元からそんな言葉を零しながら、2千円はしっかり祐介のポケットへ。


「それで十分でしょ。出てって!」