たくさん。 たくさん。 咲いていた。 やっぱり私は壊れてしまったらしい。 目から油が流れてきた。 試しに舐めてみるが、なんの味もしない。 これは、人間が流す、涙というものじゃないだろうか? しかし。 涙は悲しい時に流すときいた。 今、ないはずの胸が熱いこの時が、悲しいというものだろうか? 温かいものが私の体を包む。 なぜか私は感じた。 両側で、一緒に花を見上げている、優しい笑顔を。 だから笑った。 私も。 笑った。 (咲)