壊れた物を修理すること。
ルースの人たちとおしゃべりすること。
ティファニーの手料理を食べて、セドナたちと一緒においしいと感じること。
きれいな景色を見て、美しい音楽を聴いて、胸を震わすこと。
素敵な『心』を教わること……。
1つひとつで見ていけば、幸福という言葉では大袈裟すぎるちょっとした嬉しさや楽しさ。
いつの間にか、ニコの中では当たり前の感覚になっていた。
その当たり前の喜びが積み重なることで、大きな幸福を育てていくのだ。
すっかり得心が行った様子のニコを見ていたリビアだが、目が合うとくすりと笑った。
笑われるようなことをしていたのかとニコは疑問に思う。
「どうしましたか?」
「ああ、ニコのことを笑ったわけじゃないから、気を悪くさせたならごめんね」
「大丈夫です」
「今の話はね、ティファニーの受け売りなのよ」
小さな笑声を引っ込めてリビアは言い、ペロッと舌先を出した。
いたずらっ子の顔つきだ、なんだか幼く見える。
「そうだったんですか」
「ええ、あたしも聞いたときはすっごく納得しちゃったわ。
振り返るきっかけを貰えた気分。
日常にごろごろ転がっている嬉しいこととか、当たり前になっていることを大切にしたいなって思えるわよね」


