極彩色のクオーレ






リビアのその予想は当たっていた。


数週間前、ニコは書庫の老朽化が進んだ棚の修理を依頼されたとき、誰も来ないような奥の列にレムリアンの姿を見つけた。


ニコがいることにも気づかずに、彼は風土病とその治療法についての文献を食い入るように読み漁っていたのだ。


そして閉館時間ぎりぎりまでそこを動かさず、小さな声で「クソッ」と悪態をついていたのを耳にした。


壁か棚のどこかを拳で叩く音も一緒に。



(この間も図書館に行く姿を見かけましたし、まだ方法が見つかっていないんでしょうね……)



「ニコ」



ぼんやり思い返していると、急に名前を呼ばれてニコはきょとんとした顔つきになる。


石材からとび降りたリビアが身体をニコに向け、スカートの裾がふわりと翻った。



「何が幸せなのかなんて、20年そこそこしか生きてないあたしには分からないわ。


でも、別に『幸せ』って大層なものじゃなくても、日常的にちょっとしたことで嬉しかったり楽しかったりするだけで満足できるでしょ?


それで時々振り返ってみて、『ああ、幸せだったな』って思えたら、それがその人にとっての幸せなんじゃないのかな」


「……なるほど」



納得してニコは顎を引き、リビアの顔を見た。