クォンタムが問いかける。
残念ながら、彼らの、主にセドナの声は丸聞こえだったようだ。
セドナは恥ずかしそうに頷く。
「は、はい。何故か聞いたような気分になってて。
おい、今ここで自己紹介してくれよ」
「そう言われても、ぼくに名前はありませんよ」
「……は?」
しばらくの間を挟んで、セドナが素っ頓狂な声を出す。
少年は真顔で頷いた。
「昔はあったと思いますが、捨てました。
記憶にも薄いですし。
なので、ぼくを呼ぶときは『修理屋』と呼んでください」
「ほう、捨てたとはなあ。
それなのに新しい名前を何けないのは、何か深い理由でもあるのか?」
クォンタムに尋ねられ、少年は顎に指を当てて視線を泳がせた。
「……まあ、それなりに」
「分かったよ。修理屋だな。
俺は名前を覚えるのが苦手だから、覚えやすくて助かる。
セドナから聞いたぞ、凄腕なんだとな」


