極彩色のクオーレ






一緒に内装も変えるというのだから、資金も大きな額になるのは確定していた。


それなのにどうして、街の住民たちが生活に苦しんでいる今の時期に修理作業を行うのだろうか。


ニコにはそれが不思議でならなかった。



「おいニコ」



呼ばれると同時に、後頭部に衝撃をおぼえた。


もちろん痛みはなかったので、さすらずに振り返る。


そこに仏頂面のセドナが立っていた。


おや、とニコは唇をとがらせて首をかしげる。



「セドナ、いつからここに?


工房はどうしたんですか」


「先生がここに来てるんだよ、シャンデリアを新しく作ったの運んで来てさ。


あー肩こったわ、運ぶのは今でも慣れないんだよな。


割れたらどうしようって思うと全く気は抜けないし、ヒーラーの奴は隙あらば手抜こうとするしさ」


「確かに、セドナには不得手のことですよね」



約1年前、クラック石で作った首飾りを工房まで運んだときを思い返す。


普段なら15分程度で歩ける道を、セドナは『割れる、割れちまう』と慎重になりすぎて3倍近くの時間をかけていた。


今は大分マシにはなったらしいけれど、やはり緊張するらしい。


逆にヒーラーはそういったことについて無頓着な性格だ、力仕事もしたがらない。


弟弟子に叱られる兄弟子、やれやれとため息をつく師匠。


その光景が容易に想像できた。