極彩色のクオーレ


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柱の修補作業の段取りを確認していたニコは、図面からふと顔をあげた。


高くそびえ立つ中央塔と蒼穹を仰ぐ。


突然の行動に、大工の親方が不思議そうに尋ねる。



「どうした?


どっか気になるとこでもあったか?」



それからニコと同じように顔を上に向ける。


外装を見ていると勘違いしたらしい。



「あ、いえ。今誰かに呼ばれたような気がしたんですが……」


「そうか?誰も呼んでなかったと思うぞ。


聞き間違えたんじゃねえのか?」


「うーん……」


「何でもいいけど、とりあえずそこの修理はお前に任せるからな」


「はい」



親方は図面を持って他のグループのところへ行く。


しばらくその背中を見送ってから、ニコは左胸をさすった。


気のせいじゃないはずだ。


確かに今、誰かは分からないけれど声を聞いた。



(ティファニー……?)



今朝別れた主人の姿を思い出す。


昨晩親方と街長の執事から中央塔の修理を依頼されたとき、迷っていたニコに行くように言った。



「いい加減しっかりしなくちゃ、前の生活に戻らないと。


ニコもセドナも、明日からはお仕事に行って。


いつまでも2人につきっきりでいてもらうわけにはいかないし、セドナは工房の仕事が溜まってるでしょ?


ニコだって修理の依頼ずっと断ってたし、これ以上他の人に迷惑かけれないよ」