完全に独りぼっちになることは、ティファニーにとってトラウマに近いことだった。
父母の死を生々しく蘇らせるからである。
それに、セドナやニコたちと出会ったから、人との関わりの温かさを知ってしまったから、尚更辛い。
街の民の命がかかっていることであるが、ティファニーは決めかねていた。
こればかりは、自分を犠牲にしたくないという気持ちが強い。
彼女の中の葛藤を、小さな背中から感じ取ったのだろうか。
セイクリッドは一旦深く息を吐き出すと、ティファニーの耳元へ顔を寄せた。
「君がこのままクラウンに居続けたら、君の噂はきっとルースに広まってしまう。
そうなると、ニコやセドナ……君の大切な人たちが迫害されてしまうかもしれないよ。
僕も阻止すべく動きはするけど、悪意のすべてから彼らを守ることは不可能に近い。
……ニコたちが傷ついてしまっても構わないのなら、この街に残るといいよ」
やけに優しい声に囁かれ、ティファニーは息をつめた。
街の人々から攻撃されるニコたちの姿を想像してしまう。
だめだと言い聞かせれば言い聞かすほど、その想像は数珠つなぎに増え、膨らんでいく。
ティファニーは耐えられず、両手で顔を覆った。
指の間から涙が腕を伝っていった。


