セイクリッドは、やや目を見開いた。
すぐに降参を示すのかと思ったら、意外にも反抗的な姿勢になっている。
だが、それにたじろぐほど彼は気弱ではなかった。
優位に立っているのはセイクリッドだ。
銃を当てたまま、膝に手をついて前屈みになる。
「ティファニー、君はなにか勘違いをしているみたいだね」
「それはセイクリッドの方でしょ?」
「いいや、君だよ。
君のお父さんかお母さんは、『無色の瞳』がもたらす脅威について教えたのかい?」
「え……」
「教えなかっただろうね、愛するわが子を傷つけたくないから。
ティファニー、君のその『無色の瞳』は不幸を招く。
君がどう思おうと、災いがこの地へ引き寄せられるのさ」
束の間、言葉を失った。
ティファニーですら聞かされていない話だ。
嘘であってほしい。
その願いがそのまま口から迸る。
「……嘘、そんなの嘘だよ」
「嘘じゃない、現にルースは今までにない危機に晒されるところだっただろ?
僕が協力していなかったら、飢餓や獣によって命を落とす者が何人も出たはずだ」


